職人の技を生かして、住まい作りを支える
建築の職人といえば、真っ先に宮大工を思い浮かべる人も多いと思います。技術の継承の問題も含めて、今は人材不足に悩まされています。匠の技は相応の鍛煉期間をおかなければ継承できません。さらに、こうした技能だけではなく、日々使う道具なども自ら揃え、調整しておかなければなりません。職人には日頃の研鑽と努力が欠かせないのです。
もし家を建てるための建築資材があっても、それを組み上げる職人の手間をかけなければ形になりません。この手間賃、つまり労務費は、住宅価格の大きな要素です。これに材料費と諸経費で、現実的な住宅価格が決まります。これは、建築業法20条にも明示されていることです。
ローコスト住宅と呼ばれる家でも、この3つの予算は変わりません。そして、これを低減しないことにはローコストは実現しません。
当然、建材を選ぶのに最も優先されるのはコストです。新建材が選ばれることが多いのも、量産品として製造するほど材料費をおさえることができるからです。ただし、材料費を下げれば、安普請の家になることは否めません。
それ以上に、労務費に対して厳しいコスト削減を行います。残念ながら腕の立つ職人を必要とする工事は避けられます。たとえば、左官職人に頼むよりも内装工に、大工職人よりも組立工に、瓦職人よりも設置工でできる工事にすることでローコストが実現します。
その意見では、ローコスト住宅とは、職人の技術を使わないで、組み立てるようにして建てている住宅であるとも言えます。もちろん、職人の代わりに組立工を育成し、諸経費を削減する努力も必要です。しかし、いわゆる職人の手間賃をたたくことになっている企業もあるようです。
この考え方は、住宅メーカーが手掛けるプレハブ住宅とも、基本的には大きな違いはありません。にもかかわらずローコストとプレハブ住宅の価格には極端な差があります。その差は経費の差で判断するしかないようです。
それでもローコスト住宅やプレハブ住宅が主流にはなっていない現状を考えると、まだまだ職人の仕事は残されていると言えます。
現に地域に密着した住宅建設企業では、同じ地域の数々の職人さんとの連携を大切にしています。そして腕の立つ良い職人を多くかかえていることは、建設企業の自慢にもなることです。だからこそお客様のご要望に合わせて、現場で細やかに応えることができます。職人を大切にし自慢する企業が、頼りになる企業であるはずです。